森若さんシリーズも4作目、何か進展があるとすれば一つだと思っていたが、色々とビックリすることが多かった。
3巻の最後に登場した麻吹美華を中心に色々とトラブルが起きたりするが、それとは別に沙名子と太陽もまぁ、色々と・・・というか書いてて段々太陽に腹が立ってきた。森若さんは相変わらず俺にドンピシャのキャラクターなだけに、取られたようで悔しい。
発売後すぐに買って、一気に読んで、次5巻待ち。辛いなぁ・・・早く沙名子に会いたい。
森若さんシリーズも4作目、何か進展があるとすれば一つだと思っていたが、色々とビックリすることが多かった。
3巻の最後に登場した麻吹美華を中心に色々とトラブルが起きたりするが、それとは別に沙名子と太陽もまぁ、色々と・・・というか書いてて段々太陽に腹が立ってきた。森若さんは相変わらず俺にドンピシャのキャラクターなだけに、取られたようで悔しい。
発売後すぐに買って、一気に読んで、次5巻待ち。辛いなぁ・・・早く沙名子に会いたい。
タイトルで目を惹かれ、次に帯を見たら“大島てる推薦!” の文字。やっぱり瑕疵物件がテーマの小説なのだと分かり、なおさら気になって買った。
ちょっと怖い話なのかなと思ったが、読んでみたら全編変わったミステリーでなかなか面白かった。全話共通のキーマン「藤崎」が主人公ではないのも新鮮な感じがする。
各話とても読みごたえがあり、結末も良かったのだが唯一分からないのが「藤崎」自身の素性。それだけ頭がキレるのになぜ職が見つからず瑕疵借りをやっているのか。そもそも、どういう経緯で瑕疵借りになったのか――――。
その辺が一番気になるので、是非とも続編を書いて、藤崎自身が主人公となる話が読んでみたい。
「Bの戦場 さいたま新都心ブライダル課の攻防」/ゆきた志旗
「経理部の森若さん」に「ブラック企業に勤めております。」など、魅力的なラインナップの集英社オレンジ文庫。
公式サイトを眺めていて気になったのがこのタイトル。既に4作まで出てるので、買っていいものかどうか迷っていたのだが、やはり「絶世のブス」が主人公というあり得ない設定が気になって仕方が無かった。
設定が既にイカれている分、拍子抜けするような内容だったらどうしようと思っていたのだが、それは完全に杞憂。確かに、一部分だけ一極集中してイカれている部分はあるが、それも全体のストーリーに上手く溶け込んでいてなかなかに面白い。あーあ、これは完ぺきに全巻購入コースだ。
それにしても・・・この表紙から「絶世のブス」は想像し辛い。シリーズが終わる頃になっても顔はずっとでないんだろうけど、是非とも見てたいもんだ。
「ブラック企業に勤めております。 仁義なき営業対決」/要 はる
「ブラック企業に勤めております」も3作目。相変わらず “言うほどブラックか?” という感じだが、登場人物はみんな(比較的)可愛い。今回は他の支店の社員も登場するためとにかく登場人物が多いが、話がよくまとまっているので特には気にならない。
とりあえず今後も続くような終わり方だったので安堵。このシリーズはとにかく読みやすく、疲れてる時なんかに読むと丁度良いのでもう少し続けて欲しい。
「寝ぼけ署長」/山本周五郎
飛行機でのフライト時間の暇つぶしにと、浜松町駅の文教堂で本を物色してる時に見つけて買った。
山本周五郎が昔の有名な作家だということを全く知らず、表紙と帯が気になって買ったものだから読んでみて舞台背景の古さにびっくり。そこから山本周五郎について調べてようやく1967年没である事を知った。今になって販売されてるのは単に没後50年で著作権が切れてるからなのね・・・。
冒頭から時代の古すぎる話にびっくりはしたが、主人公である “寝ぼけ署長” のとぼけっぷりや、毎話ハッピーエンドで終わるほのぼのとした感じは今の人間でも楽しく読めると思う。
“寝ぼけ署長” のイメージとしては小林亜星が浮かんでいたのだが、読んでるとどうも違う。恰幅良く、とぼけた感じだが実は情に熱くデキる男。帯のとおり上司にしたい男No.1だ。
「ルーズヴェルト・ゲーム」/池井戸潤
池井戸潤の作品で、金融モノ以外のものを読むのは初めて。
ルーズヴェルト・ゲームについては、ドラマ化された時の情報で「経営パート」と「野球パート」の2つのパートで構成されているという事は知っていたのだが、そもそもこの2つを結びつけること自体理解しがたく、ずっと気になっていた。
反面、どちらも中途半端になってしまうのではという危惧があってなかなか買わずにいたのだが、読んでみればそれぞれのパートでしっかりとしたヤマ場があるし、またお互いの盛り上がりの波がリンクしていてとても良く構成されていた。
とはいってもさすがに経営と野球じゃどうしても結びつきが弱くなっちゃうよねという点も多少はあるのでそこは残念かなと思った。恐らく、映像化(ドラマ)されれば気づかなくなる程度のものなので、今度はドラマの方を味わってみたい。
※これまでのシリーズは以下の通り。
「撃てない警官」 (記事)
「出署せず」 (記事)
「伴連れ」 (記事)
「広域指定」 (記事)
ようやくここまで来た。
安東能明の柴崎警部シリーズ5作目になるが、そもそもこのシリーズを読もうと思ったのは、ツタヤに置いてあった「総力捜査」が不思議と気になったから。それで “まずは1作目を読んでみよう” から始まった。
「総力捜査」の本の帯には「柴崎警部に“相棒”誕生!」と書いてあったが、これは半分当たりで半分ハズレ。ただしこの半分ハズレがかなり良い。柴崎からすれば相棒というより厄介な相手が増えただけで、気苦労は相変わらずという展開が最高に面白い。
作者の安東能明も、読者がその辺を面白がっているという事にようやく気付いたのか、今回は “相棒” からの突然の無茶ブリや、助川からの事前相談無しのブッコミなど、ついつい吹き出してしまうシーンが多々あった。
それだけでなく本編もかなり熱い。坂元・助川はいつの間にか高野の事を心から仲間として信じるようになっているし、柴崎により大きな信頼を寄せるようになっている。あと、現場主義の助川があそこまで戦闘力が高いとは・・・。
5作目にして各キャラクターもギャグ(?)もピークに来ているような気がするのだが、シリーズとして今後もやっていけるのだろうか。ある意味心配だ。
「ブラック企業に勤めております。 その線を越えてはならぬ」/要 はる
前回読んだ「ブラック企業に勤めております。」の続巻。前にも触れたが、主人公の勤務している会社はそんなにブラックとは思えないのだが、タイトルに縛られることなく読んでみれば話として単純に面白い。
また、前作よりも読みやすくなっている気がする。これについては前作で登場人物の事が頭に入っているからということもあるが、前作ほど大きな山場がないからという事もあるかもしれない。
山場がないと言っても特に悪い意味ではなく、全体的に “ゆる~く” なっている。内容が薄いだけに人に勧めて話題を共有するような作品でもなく、ただただ疲れている時にのんびり読むのがとてもいいと思う。個人的には雰囲気が好きなので次作も買う予定。佐倉さんと林さんのこれからも気になるしね。
ブラックな不動産業界を題材にした本。市況かぶ全力2階建での紹介記事?を見て読んでみたいと思っていた。前半は予想通り不動産業界のエグい部分がこれでもかと描かれていたが、後半は意外にも主人公がそれに順応し、成長(というより染まっていく)していく過程が描かれている。全編通して素敵なことは何も無く、ただただ荒んだ世界が描かれている。好みが分かれる作品だとは思うが、自分は楽しく読めた。
作中では「まわし」や「かまし」など、不動産業者がお客をオトす為に使ういかにもな “テクニック” も描写される。その辺はもう有名なので目新しさは無かったが、まさか家を売るのに「その客、絶対ぶっ殺せよ」「はい、絶対に殺します」なんてやりとりがされてるとは。そんなん想像できん。
作中に出てくる啖呵やキャラクター感の軋轢もなかなか迫力があってたまらない。「おい、お前、今人生考えてたろ。何でこんなことしてんだろって思ってたろ、なぁ。なに人生考えてんだよ。てめぇ、人生考えてる暇あったら客みつけてこいよ」なんて言われたら震えるわ。
200ページも無いのであっという間に読み終えてしまったが、できれば主人公のこれからや豊川課長の過去など、読み進めるうちに自然と疑問が湧いてくる部分についてもっと語られると良いなと感じた。不動産業界全てがこうではないと思うが、少なくともこの本を「リアル」と捉える人はいるようだから読んでみて良かったと思う。
「撃てない警官」「出署せず」「伴連れ」に続く、柴崎警部シリーズの4作目。夜寝る前に1話だけ読むかと手に取ったのだが、なかなか終わらない上にどんどん面白くなって困った。明日もあるのでと無理やり切り上げて就寝するも、翌日にはもう読み終えてしまった。・・・これまで短編集だったのに、4作目はまさかの丸々1冊長編だった。
長編大作となっても間延びするような感じも無く、最後まで夢中になって読めた。「出署せず」からの坂元署長、「伴連れ」からの高野などの主要な人物のキャラクターも際立っていて、全てはこの話のために用意されたものだったのかと思えるぐらい作りこまれていて、確実にこれまでの作品よりも一番面白い。
自らの思惑とは裏腹に “現場” に翻弄される柴崎、そして自身も気づいていない類稀な捜査能力によって “現場” の人間にどんどん頼られているという展開はもはやワンパターンだが心地よい。
次の作品「総力捜査」は短編・長編のどちらだろうか。いずれにせよこのシリーズは間違いなく面白い。本当に楽しみ。
「ブラック企業に勤めております。」/要 はる
最近、厚めで濃い本ばかり読んでいたので、一旦軽いので落ち着きたいと手に取った本。実際読み始めてみたら一日半で読み終えた。同じ集英社オレンジ文庫の「これは経費で落ちません!」シリーズ(青木祐子)と雰囲気が似てそうだったので読んでみたのだが、あちらよりもテンポは良くて更に読みやすい感じ。
本を買う決め手になったのはやはり “ブラック企業に勤めている” というタイトルのインパクトなのだが、ブラックぽい雰囲気があるのは最初の数ページ位で後は全くブラック感は無かった。
その点は拍子抜けだが、主人公の佐倉夏実をはじめとしてキャラクターはみな魅力的だし、話も十分に面白いので一気に楽しく読めた。一番好きな話は「働かない者は去れ」いつも冷めた目で職場を観察していた佐倉が熱くなってしまい、チームに奇妙な一体感が生まれるシーンが最高に笑えた。
これは続巻も買うしかないなぁ・・・あぁ、また読むべきシリーズモノが一つ増えたよ・・・。
メガバンク・帝都銀行にて、行内で起きた様々なトラブルを総務部特命の男が解決していくミステリー。半沢直樹シリーズや花咲舞シリーズよりも前で、本の帯には花咲舞シリーズのモデルになったとか書いてあったような気がする。だとすると話中の唐木怜あたりが花咲舞のモデルになるだろうか(ちなみに自分のイメージする唐木怜は「花咲舞が黙ってない 」の表紙の絵そのものだったりする)
「漏洩」「煉瓦のよう」「官能銀行」「灰の数だけ」「ストーカー」「特命対特命」「稟議遅延」「ペイオフの罠」どれをとってもなかなか面白い話だった。半沢や花咲は大体敵と対峙する話が多いが、こちらは犯人を挙げるような話もあり、バラエティに富んでいると思う。
「官能銀行」の妖艶さ(池井戸潤エロ小説もイケるんじゃね?)や「特命対特命」の痛快な逆転劇はたまらないし、そして唐木の魅力が光る「ペイオフの罠」、とても“花咲舞”ぽくて面白い。これまで銀行モノしか読んでないけど、どの本のどの話もあまり被る事無く新しい面白さがある。この人はホントにすごい。
以前読んだ「撃てない警官」の続き。続き、といっても登場人物が同じなだけで前作同様短編集に変わりないし、この作品から読んでも全然問題ない。主人公の名前をとって、“柴崎警部シリーズ” と呼ぶのがふさわしいのかな。
前作と大きく変わったのは署長に女性が就任した点か。前作では署長なんてクローズアップされることは無かったが、本作では物語に大きく関わってくる。といっても物語全体の色を変えるほどではなく、ほどよいスパイスになっていると思う。
びっくりしたのは前作でとても魅力的だった副署長の助川やヤリ手のデカに思えた浅井が意外にヤなヤツに映った点。人間らしさが感じられると言えばそれまでだが、あそこまで署内がギスギスしてていいのだろうか。柴崎もホント大変だな(笑)
自分が「1981年」生まれなので、書店に並べられてからすぐ目に入った。書店に寄るたびに数度買うか買わないか悩んだが、設定が面白そうなのでやはり買ってしまった。
1985年生まれの青年がどういうワケか2014年から1981年にタイムスリップしてしまい、生活のため背に腹は代えられないと後世の名曲を次々と自身の作詞作曲として発表していく。
話中に次々と出る名曲が、1981年の中でどういうリアクションを取られるかなんて当然現実には分かりっこない。だが、こういうリアクションをされるだろうな、という想像は容易にできた。タイムスリップものの中ではかなり斬新な方だと思う。
面白い部分を語ろうとすれば必ずネタバレに繋がってしまうので多くは触れられないが、1981年生まれの自分には十分楽しく読めた。
ちょっと残念なのは、主人公がどうしてタイムスリップしてしまったのか、物語はどこに落ち着くのかという部分が雑だったり急だったりしたかなと。あと、物語の中でいくつか盛り上がる部分が出てくるが、そこまでの導入がちょっと冗長かな。どうしても退屈な部分が出てくる。
五十嵐貴久という作家については本作の他に「○○○○年の○○」というフレーズの作品が多々あるようだけど、とりあえず1981年だから手に取ったところもあるしまた生まれに近い年代で面白そうなテーマだったら読んでみたい。
ツタヤで文庫のコーナーを見ているといつも「総力捜査」という本が気になってしまうのだが、厚さがあるために “(読むの)疲れそうだな”と敬遠していた。
ただ、この本がシリーズものの最新作だという事は分かっていたので、ふとシリーズの最初の本はどれかなと調べてみたら、比較して厚くないこの本がその1作目だった。
ここでまた、じゃあこの1作目から入ってみるかどうかで迷っていたのだが、最後に背中を一押ししたのは作者・安東能明の著作歴。清々しいほど刑事モノしか書いてない。 池井戸潤が書く銀行小説が毎度毎度面白い事を考えれば、この人の刑事モノもまた間違いないのだろうと確信。
「撃てない警官」は2日で読み終わった。全編とおしの長いストーリーなのかな、と思ったら中身は一応続きものではあるが各話で一応の解決する短編の連続だった。区切りが短くリズムが良いため、逆に止め時が分からず次へ次へと一気読みしてしまった。池井戸潤の本を読んでる時のリズム感に近いので、慣れもありあまり疲れも感じなかった。
刑事モノなんて読んだ事無いし、自分に合わなかったらどうしようと思ってたが、杞憂だったな。そっち方面の知識に明るくないといけないという事も無く、話も分かりやすい。1作目は主人公の行く末や、周りの気になる人物の本性など、重要な要素については全て含みを持たせたまま終わっていたが、これはとても良い意味で “ズルい”。ちょっと嫌なのはそれがシリーズ最新作まで十分に引っ張っていそうな点ぐらいかな。
「撃てない警官」→「出署せず」
→「伴連れ」
→「広域指定」
→「総力捜査」
と続くと考えると気が重いが、もう決めた。全部読むよ。
去年からずっと、池井戸潤の銀行を舞台にした作品ばかり読んでいるがこれもその一つ。再生支援中の企業が爆破テロのターゲットにされ破綻も懸念される中、追加支援か支援打ち切りかを迫られる銀行。行内でも熱い戦いが繰り広げられる様子は唸るほど面白く、またまた一気読みしてしまった。
中小企業が少額の融資も受けられず次々に倒産していく中、どうして大企業だけが再建計画だの再生だのと手厚く支援されるのかというのは確かに不合理な点ではあるし、かといって支援から手を引くとその波及効果―――下請け・取引先など関連会社の倒産や路頭に迷う社員などの影響も計り知れない。主人公は義に沿って打ち切りを決めたし、実際それが正しいのだけど、本当のところはどうするのが一番良いのだろう。なかなか考えさせられる内容だった。
「強欲の銀行カードローン」/藤田知也
貸金業法によって消費者金融は総量規制をくらっているのに、なぜ銀行のカードローンには総量規制が適用されないのだろう。ズルくね?と常日頃思っていたところでこの本を見かけ、購入。
カードローンって金利が結構エグいし、これが総量規制を免れている理由がさっぱり分からないのだが、本書ではそれをメガバンクや全銀協にぶつけていた。明確な答えが返ってこなかったのは言うまでもない。
これまで「銀行だから(=社会的責任のある堅い職業だから)」というイメージで上手くごまかしてきたかもしれないが、これからはそうはいかない。銀行の経営がどこも厳しいのは周知の事実だし、普通の企業と同じく、ほぼ営利でしか動いていない。どの銀行もこぞって推進するカードローンはまさにその象徴であると感じた。
自分の考えが合ってるか確認しようと手に取った本だったが、それ以外にもカードローンの活用により貸金業の総量規制枠を下げられることや、信用金庫でのカードローンの実態など、知らなかった情報がちょこちょこ得られたのでとても面白かった。
そういえば2年前に住宅ローンを組んだ時、「一時的にお金が必要な時などに活用されては」と組んだその場で関係ないカードローンをしつこく勧誘された。また、ある日の夜はローンを組んだ支店からいきなり電話がかかって来て、カードローンを勧められた(勝手に他の案件で得た情報を使って営業したらダメだろう…)“耳寄りな情報” と銘打ってくるDMはみんなローンの話ばかりだし、本当に恥も外聞もない。なりふり構ってられないんだろう、銀行の中の人も大変だなとは思う。
「空中ブランコ」が面白かった(記事)ので、続編の「イン・ザ・プール」と「町長選挙」は立て続けに買って読んだ。
アニメの方の空中ブランコに採用されているのは、「イン・ザ・プール」からは「イン・ザ・プール」「勃ちっ放し」「フレンズ」「いてもたっても」が採用されており(むしろ非採用は「コンパニオン」のみ)、「町長選挙」からは「オーナー」のみが採用されていた。
個人的に好きだったのは、「町長選挙」に収録されていた「アンポンマン」。主人公のモデルは明らかに “ホリエモン” こと堀江貴文で、ニッポン放送の買収やプロ野球界への参入、ライブファストという社名などギリギリの点を突いていた。
徹底した合理主義のせいで他人を思いやれなくなっていた主人公が、読むにつれ少しずつ優しくなっていくのがとても面白く、是非ともアニメ版でやって欲しい話だったが、フジテレビでこの話をアニメ化するのは多分無理だな(笑)
いずれも、ゆっくり読もうと思って手に取ったはずなのに、どちらも面白すぎてあっという間に読んでしまった。特に「銀行仕置人」は、夜にちょっと読んでみるかと手に取ってから止め時を失い、夜中まで読み続けて一気に読了してしまった。
主人公があちこちで勧善懲悪をしながら徐々に本丸へ切り込んでいくという池井戸潤作品の王道パターンだが、本作は主人公が悪党どもにハメられるところから始まるため、これまでのどの作品よりもどん底からのスタート。その悪党どもをじわりじわり復讐するかのように追い詰めていく過程がなかなかに熱い!次が気になり過ぎて途中で止めるなんてできなかった…。
「銀行狐」の方は読んでみたら実は短編集だった。タイトルにある “銀行狐” はもちろんのこと、他のどの短編も面白かった。個人的には “金庫室の死体” “口座相違” が好き。特に “金庫室の死体” は犯人が誰かなんとなく読めていたのだが、そもそもどうやって犯人として浮かび上がってくるのかが想像つかなかったため、クライマックスで全てが結びつくまでの流れが本当に面白かった。
池井戸潤は元行員だったようだが、それにしても自らの職業をよく観察していると思う。業務に精通するだけではなく、作家ならではの視点
で色々と見ていたんだろう。自分もそういう視点を持ちながら働ければ、モチベーションを保てるのかな。