【本】「狭小邸宅」/新庄耕

「狭小邸宅」新庄 耕

ブラックな不動産業界を題材にした本。市況かぶ全力2階建での紹介記事?を見て読んでみたいと思っていた。前半は予想通り不動産業界のエグい部分がこれでもかと描かれていたが、後半は意外にも主人公がそれに順応し、成長(というより染まっていく)していく過程が描かれている。全編通して素敵なことは何も無く、ただただ荒んだ世界が描かれている。好みが分かれる作品だとは思うが、自分は楽しく読めた。

作中では「まわし」や「かまし」など、不動産業者がお客をオトす為に使ういかにもな “テクニック” も描写される。その辺はもう有名なので目新しさは無かったが、まさか家を売るのに「その客、絶対ぶっ殺せよ」「はい、絶対に殺します」なんてやりとりがされてるとは。そんなん想像できん。

作中に出てくる啖呵やキャラクター感の軋轢もなかなか迫力があってたまらない。「おい、お前、今人生考えてたろ。何でこんなことしてんだろって思ってたろ、なぁ。なに人生考えてんだよ。てめぇ、人生考えてる暇あったら客みつけてこいよ」なんて言われたら震えるわ。

200ページも無いのであっという間に読み終えてしまったが、できれば主人公のこれからや豊川課長の過去など、読み進めるうちに自然と疑問が湧いてくる部分についてもっと語られると良いなと感じた。不動産業界全てがこうではないと思うが、少なくともこの本を「リアル」と捉える人はいるようだから読んでみて良かったと思う。